6月 27, 2019

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Appleが「攻め」のセキュリティ対策 企業で「Mac」の導入が相次ぐワケ


10月に開催されたアップルのイベントで、MacBook AirとMac miniを発表するティム・クックCEO(筆者撮影)
アップルは11月7日、新モデルとなる薄型ノートMacBook Airと、大幅に性能が強化された小型デスクトップMac miniを発売した。10月30日にニューヨークで開催されたイベントで、新型iPad Proとともに発表された製品だ。発表された製品はいずれも、個人が自分のコンピュータとして活用するうえで重要となる価格を比較的抑えつつ、Mac miniやiPad Proは非常に強力なパフォーマンスが得られ、またMacBook Airも多くの人にとって十分な性能を備え長く使える点を重視していた。これらの製品は個人だけでなく、ビジネスの現場でもより受け入れられる可能性がある。その理由について迫っていこう。セキュリティが「リスク」になっている時代セキュリティやプライバシーは、世界中のどの企業や個人にとっても重要だが、アメリカ企業はより注意深くなっている側面がある。情報が安全ではないことは、株価やブランドを失速させる大きな材料となるからだ。最近ではここに、米中貿易戦争の文脈も付随するようになった。たとえばブルームバーグが10月に報じたのは、アメリカのサーバー機器大手、スーパーマイクロのマザーボードに、米粒より小さなチップが埋め込まれ、これを通じてアップルやアマゾンのサーバーから中国当局によって知的財産を奪われている、というストーリーだった。各社とも全力で否定しているのは、それぞれの企業の事情だ。アップルはセキュリティとプライバシーをブランドの中核に据え、これらを広告のビジネスモデルに活用するフェイスブックを痛烈に批判してきた経緯がある。にもかかわらず自社サーバーから情報が奪われては、批判していた根拠すら揺らぐ。一方のアマゾンは、急成長を続けているAmazon Web Serviceの最大顧客がアメリカ政府や行政機関になりつつある。こうしたセキュリティ懸念は、規模も名誉も大きな顧客の案件を失注させるには十分だ。サーバーレベルではなくても、情報の流出は問題になる。個人がスマートフォンやタブレット、コンピュータを外出先で紛失した場合、当然情報流出のリスクが広がることになる。ソフトウエアでのセキュリティで縛っても、ハードウエアが手薄ではリスクを潰しきれない。アップルがエンタープライズ市場で確立したいブランドこそ「セキュリティ」なのだ。「T2チップ」の役割とは?アップルはiMac Pro、MacBook Proといった上位モデルのMac製品に加えて、廉価モデルのMacBook AirやMac miniにも自社設計のコプロセッサー「T2」を搭載した。このことは、廉価モデルをビジネス市場に大きく売り込んでいこう、という意志の表れと言える。T2チップはさまざまな役割を担っている。たとえばFaceTime HDカメラの画像処理やオーディオ処理、そして高圧縮でビデオや写真を保存できるHEVCエンコーダの役割も担う働き者だ。T2チップの最大の役割は、セキュリティだ。MacBook Airには指紋認証のTouch IDが採用されているが、この指紋データを安全に格納する先はT2チップだ。しかしそれだけではない。システムが起動する際に、不正なソフトウエアではないことを確認するセキュアブート機能や、ディスクに書き込む際に暗号化しながら保存するOn-the-fly暗号化も、T2チップの重要な役割だ。そのため、たとえばMacに外部ディスクをつないで不正なソフトウエアで起動しようとしたり、物理的にストレージを取り出してデータを吸い出すことを防いでくれるのだ。
11月7日に発売された新MacBook Airのゴールド(筆者撮影)
また13インチMacBook Proと新型MacBook Airでは、ディスプレーを閉じるとマイクが切断される仕組みもT2チップによって制御されている。これにより、コンピュータをスリープさせたつもりが不正なソフトによって会話が記録される、といった被害を防ぐことができる。T2チップはハードウエアとして、セキュリティを高める重要な役割を担っている。このチップの存在を理由に「企業がMacを選ぶ」状況をつくっていきたい、そんなアップルの意欲がうかがえるのだ。アップルはビジネス向けにデバイスを管理する「Apple Business Manager」を用意し、プロファイルやコンテンツ、アプリなどを一元的に管理することができるようにしている。企業のセキュリティポリシーや必要なソフトウエアをプロファイルを通じてセットアップできる。これによって、企業でアップル製品を支給された社員は、シールがベタベタ貼られた状態のマシンが手渡されるのではなく、自分で開封するという体験から簡単にその企業での活用をセットアップできる点は、アップルブランドらしい配慮だ。すでに4万もの企業がこの仕組みを活用しており、日本を含む64カ国に拡大した。しかしデバイスのセキュリティやセットアップだけでは、なかなかエンタープライズでの活用が広がっていかない。IBMとのパートナーシップで表れた効果そこで4年前から、アップルはエンタープライズ分野におけるパートナーシップを始めた。その第1弾がIBMだった。IBMはすでに自社でのPCの製造をやめ、企業におけるテクノロジー導入や人工知能の開発に注力している企業だ。そのため、モバイルに強いアップルとパートナーシップを組み、エンタープライズ向けのアプリ開発によって、ビジネス変革を手掛けるようになった。しかしMac導入でIBM自身もコストメリットを享受している。3年前、Windowsユーザーだった社員にMacの選択肢を与えたところ、現在までに50万人中13万4000人がMacを仕事で使っているという。2016年の試算で、4年間のWindows PCとMacの使用を比較した際、1台あたり273〜543ドル節約できることも明かした。IBMでは社員向けのMac設定アプリ「Mac@IBM」を用意し、セットアップの簡略化やユーザー体験の向上を施すことによって、サポートコストやトレーニングコストを軽減し、また好きなコンピュータが選べる点で社員のエンゲージメントも向上している。アップルはこうしたエンタープライズ分野のパートナーシップとして、シスコシステムズやアクセンチュア、デロイト、サップを加えてきた。そして2018年、いよいよセールスフォース・ドットコムがパートナーに加わった。セールスフォース・ドットコムは顧客の7割がiOSを使っており、SDK提供を通じて小規模から大規模までさまざまなサイズのビジネスに対応できるツールを提供するという。
iPad Pro12.9インチモデルとカバーを兼ねるキーボード「Smart Keyboard」(筆者撮影)
日本市場でも、アップルはビジネス分野への進出が進んでいる。JRや東京メトロ、ANA、JALといった交通系企業にiPadの導入が進んでおり、サービスを受ける際にiPadが使われているのが目に見える形でわかる。また積水ハウスはiPad導入とともに社内のアプリを内製化し、現場の細かいニーズに応えて改善を続けている。2016年の熊本地震が発生した際にはすぐに専用アプリを開発し、iPadを携えて顧客の被害状況の調査を行った。緊急時の機動力まで一気に高めることに成功した事例と言える。学校でもiPadが導入される例が増えているが、自分たちが普段学びに活用しているのと同じiPadを、実際の社会で大人たちが仕事に使っている様子を見ることで、その仕事への身近さや自分のデバイスの可能性の大きさに気づくことができるのだ。iPadは「AR」を実現するうえでも重要日本のエンタープライズ市場でも、特にiPadの活用で、独自の進化を遂げている様子がわかる。iOSは高いセキュリティや指紋、顔の生体認証に対応するだけでなく、企業が今後、顧客体験を大きく変化させる拡張現実などのアプリを実行するうえでも重要なデバイスとなる。セキュリティという守りと、モバイルという攻めの両面を、アップルとパートナー企業は強力に押し出していこうとしている。そのうえで、いずれの要素も高めることに成功したMacBook AirとiPad Proは、アップルのエンタープライズ戦略にとって非常に重要な製品となったのだ。

参照:livedoorニュース

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